子どもの血液がんの環境・遺伝的要因に関する疫学研究のご協力のお願い

子どもの血液がんについて

子どものかかる血液がんにはどのようなものがあるのでしょうか?

 子どものがん(小児がん)は大人のがんとは性質が異なります。全体の40%が白血病と悪性リンパ腫、つまり血液のがんです。残りのうちのおよそ半分が脳腫瘍、それ以外のほとんどは肉腫や芽腫と呼ばれるがんですが、大人ではまれなものばかりです。また、大人のような胃がんや肺がんは子どもには見られません。
 わが国では、毎年およそ  900 人の子ども達が血液のがんと診断されています。白血病は子どもがかかるがんのうち、最も多い病気です。わたしたちの体の中を流れる血液は、赤血球、白血球、血小板からなっています。これらの血液細胞は、骨の中にある骨髄で作られますが、白血病は、正常であれば骨髄の中で成熟し、血液中に放出されるはずの血液細胞が、未熟なまま骨髄内で増殖、蓄積することにより起こります。悪性リンパ腫は病原体と戦う免疫機能を担当する組織から生じる悪性腫瘍です。リンパ組織は全身に存在するため、悪性リンパ腫は全身のあらゆる部位に存在する可能性があります。
 白血病も悪性リンパ腫も、がん化した細胞の異常増殖により、正常な細胞が減少するため、免疫系のはたらきの低下がみられます。
 専門的な情報については、国立がん研究センター 小児がん情報サービスのサイトが大変参考になると思いますので、ご参照ください。

どのような治療をするのでしょうか?

 小児白血病の主な治療法は、化学療法(抗がん剤治療)です。小児悪性リンパ腫の治療は、その種類により化学療法あるいは化学療法と放射線治療の併用を行います。いずれの場合も、小児がんの診断や治療に習熟した専門医による治療の選択、実践が求められます。

どうして血液のがんになるのでしょうか?原因はわかっていますか?

 小児がんは、大人のがんと異なり、生活習慣にがんの発症原因があると考えられるものは少ないといわれています。小児血液がんにおいても、その発症の明確な原因はわかっていません。小児白血病では、放射線被ばく、先天性の遺伝子異常など発症要因として知られているものもありますが、これらが原因となり発症するのはごく一部です。ほとんどの小児白血病は、一つの因子に起因するのではなく、遺伝子や環境などのいくつかの危険因子が重なることにより発症すると考えられています。したがって、現時点では発症を予測し、予防をすることは非常に困難です。しかし、研究者たちは過去40年もの間、様々な研究を通して小児血液がんの原因を明らかにしようとしてきました。これまでに、小児白血病に関する疫学研究により、次のようなことが発症と関連する因子として考えられています。


  • 乳児期における感染性微生物やアレルゲンによる適度な免疫刺激が小児急性リンパ性白血病の発症予防に寄与する
  • 胎児発育が早いと小児急性リンパ性白血病の発症リスクがわずかに高くなる
  • ベンゼンやトルエンといった人体に有毒な有機化合物は小児急性骨髄性白血病の危険因子である(しかし、子どもの場合、このような環境下に置かれることは非常にまれである)
  • 高線量の放射線被ばくは小児白血病の発症リスクを上昇させる
  • 小児急性リンパ性白血病を発症する多くの子どもにおいて、特定の遺伝子多型を持つ割合が多い

 この他にも、これまでの研究により、発症の要因とされる因子はいくつも候補に挙げられています。しかしながら、確実な予防因子はわかっていません。

血液のがんは予防できるのでしょうか?

 現在までに、小児血液がんの確実な予防因子として挙げられるものはありません。治療法の目覚ましい進歩により、小児白血病のおよそ7割である急性リンパ性白血病では治癒率が80%以上、悪性リンパ腫でも大部分の病型で70~90%の長期生存率が期待されています。そこで、最近では、大人のがんと同じように、発症の予防が非常に注目されています。現在、小児血液がんの発症要因の発見と予防のための研究は世界中で行われており、今後さらなる発展のためには、研究者や医療従事者だけではなく一般の方の協力が必要です。

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